5/13 講義のポイント その1
第1回目の6時間わたる講義お疲れさまでした。
いくつかポイントをておきますのでキーワードを復習してください。
1.インターネットにおけるルール形成は、どのようなプレイヤーがになっているか?国家、国土、国民、憲法を準備して対応した近代の発明。立憲民主主義の限界は?
→ (憲法99条)から紐解きましたね。憲法を守る義務を課せられているのは、主に国家だったりします。国家以外にもパワーをもつプレイヤーがあらわれたときに日本では、”私人間効力”(民法709条、三菱樹脂事件、昭和女子大事件など)という法理をもちいて対応してきました。
しかし、巨大プラットフォーマ―、ボーダレスなサイバースペース、ユーザー、では、憲法の想定していたものと前提が大きく異なります。
→いち早くこの点に気づいて提言を行ったのがLessigのCODEという書籍2000年初めに出た書籍でした。彼は、law norm marketに加え、 architectureの重要性を指摘します。
→情報関連法規は、6法のように法典のない分野です。
とはいえ、やみくもに想定世界の世界法を考えても何も進歩がありません。大切なのは、現実をとらえながらどの切り口から切り込み整理しているかを意識することでした。(=サイバー犯罪、メディア法、プライバシー、表現の自由、名誉棄損、著作権)あるべき法を構想するには、しっかりとしたある法(=核)をつくることが大切です。
なので、今回の講義は、大きく4つのブロックにわかれているのですが、前半2回で著作権法の応用レベル(=ビジネス著作権検定上級)まで、たどり着くように進めていき、後半2回で幅広い情報法の争点を扱います。
→もうひとつ情報関連法規では、ルール形成戦略という視点が大切です。
米国は、著作権法をオプトインでなく、オプトアウトを採用することで、google他WEBサービスの発展を助け世界を制圧しました。つまり、事前に全ての承諾をとらないといけないのか?後から削除依頼があったもののみ削除すればいいのか?とい違いです。
前者(=日本)ですとどんなに技術が優れていても、歯抜けの検索エンジンしかつくれません。また、著作者がわからない著作物への対応も難しいということになります。
【資料】文化審議会著作権分科会基本問題小委員会 2010.4.9 グーグルが提起した著作権問題 国際大学 GLOCOM 客員教授(米国弁護士) 城所岩生
http://www.bunka.go.jp/seisaku/bunkashingikai/chosakuken/kihon/h22_01/pdf/shiryo_5_2.pdf
【記事】
【書籍】フェアユースは、経済を救う
よく、技術は優れているが、マーケティングがとか、言われますがWEBサービスでは、
ルール形成戦略の視点がなかったことが敗因の大きな理由のひとつといえるでしょう。
とはいえ、そうした経験がないという訳ではなく、例えば、ソニーのベータマックス事件訴訟は、訴訟を通じて、”タイムシフト”という概念を広めています。決して日本が未経験でも不得意分野という訳でもありません。
◆著作権法の法制度のあるべき法という大きな視点を学ぶこととで、実践では、ルール形成戦略の視点をもつエンジニア【技術に堪能なる士君子】になってください。