infolaw’s blog ~九州工業大学 情報関連法規(情報法・情報政策)

九州工業大学 情報工学部 情報関連法規授業に関するブログです。

間接侵害 ~著作権法と特許法の条文の作りの違い 【すべては、一次情報に当たることから】

こんにちは、第一回目の授業には、多くの方に着ていただきありがとうございました。

情報関連法規は、

 

 情報に関する法をもれなく寄せ集めて、目次機能を重視して、その時々のトピックを解説するというやり方。

 と、

 今回の授業のように”情報に関する正義・リーガルマインドは何か?”を著作権法などの切り口(=4つありましたよね。)で立ち向かっていくやり方の2通りがあります。

 

 前者は、例えば自分でインターネットサービスの会社を興したいと思う際に網羅的に対処しなければいけない事項を洗い出すのにはよいのですが、2-3年たつとがらりと環境が変わり、役に立たなくなるケースもあります。(=例えば、情報は、保護する対象。という視点から、活用するにはどうするかという立法が生まれ始めてきてたりする)

 

 そこで、本講義ではやや(=というか相当)大変ですが、後者の方式を採用しました。

 

今回、著作権法のカラオケ法理を扱う中で、著作権法の規定は、直接侵害はふくまれていることはわかるが、間接侵害も含んでいるか、条文上”あきらかでない”(=明確に書いているわけでもないし、含まれているように読めなくもない)ことから、間接侵害による差止めができるか問題となる。

 

第七章 権利侵害
第百十二条 著作者、著作権者、出版権者、実演家又は著作隣接権者は、その著作者人格権著作権、出版権、実演家人格権又は著作隣接権を侵害する者又は侵害するおそれがある者に対し、その侵害の停止又は予防を請求することができる。
2 著作者、著作権者、出版権者、実演家又は著作隣接権者は、前項の規定による請求をするに際し、侵害の行為を組成した物、侵害の行為によつて作成された物又は専ら侵害の行為に供された機械若しくは器具の廃棄その他の侵害の停止又は予防に必要な措置を請求することができる。

 

と、お伝えしました。

 

でもさ、何で著作権法は明らかでないと言えるの? 他の法律はどうなっているの?

きたあなた! 鋭い! お目が高すぎます。

 

一番比較してわかりやすいのは、特許法の差止めの条文です。 こちらは、100条(直接侵害)、101条(間接侵害)と明確に条文が構成されています。

 

(参考)特許法100条、101条

第二節 権利侵害
第百条 特許権者又は専用実施権者は、自己の特許権又は専用実施権を侵害する者又は侵害するおそれがある者に対し、その侵害の停止又は予防を請求することができる。
2 特許権者又は専用実施権者は、前項の規定による請求をするに際し、侵害の行為を組成した物(物を生産する方法の特許発明にあつては、侵害の行為により生じた物を含む。第百二条第一項において同じ。)の廃棄、侵害の行為に供した設備の除却その他の侵害の予防に必要な行為を請求することができる。
 
(侵害とみなす行為)
第百一条 次に掲げる行為は、当該特許権又は専用実施権を侵害するものとみなす。
一 特許が物の発明についてされている場合において、業として、その物の生産にのみ用いる物の生産、譲渡等若しくは輸入又は譲渡等の申出をする行為
二 特許が物の発明についてされている場合において、その物の生産に用いる物(日本国内において広く一般に流通しているものを除く。)であつてその発明による課題の解決に不可欠なものにつき、その発明が特許発明であること及びその物がその発明の実施に用いられることを知りながら、業として、その生産、譲渡等若しくは輸入又は譲渡等の申出をする行為
三 特許が物の発明についてされている場合において、その物を業としての譲渡等又は輸出のために所持する行為
四 特許が方法の発明についてされている場合において、業として、その方法の使用にのみ用いる物の生産、譲渡等若しくは輸入又は譲渡等の申出をする行為
五 特許が方法の発明についてされている場合において、その方法の使用に用いる物(日本国内において広く一般に流通しているものを除く。)であつてその発明による課題の解決に不可欠なものにつき、その発明が特許発明であること及びその物がその発明の実施に用いられることを知りながら、業として、その生産、譲渡等若しくは輸入又は譲渡等の申出をする行為
六 特許が物を生産する方法の発明についてされている場合において、その方法により生産した物を業としての譲渡等又は輸出のために所持する行為
 

 

ね。これと比べると、著作権法特許法知的財産権を構成するものなのだから、(ざっくりいうとですが・・)

 

間接侵害を認める”必要性”、”許容性”を検討する余地はありそうだ。という運びになるわけです。

 

講義の中でわかりやすく伝えるためには、”型”と”比較”が大切と伝えましたが、法律は同じカテゴリーにある(=民事法の中の民法と商法・会社法、消費者保護法。)法律の規定同士を比較すると”あれ、これ何で書いてないんかな?”とかが見えたりします。

 

そこを切り口に”○○だから問題となる”と提起すればいいわけですね。

 

今回の授業のレポートだけでなく、卒論、会社の企画書等など、世の中に散逸する情報から何が問題で、なぜ問題で、で、どうするの? を整理するために”比較”の視点はとても役立ちますよ。

 

おすすめの本は、

【意思決定のための「分析の技術」―最大の経営成果をあげる問題発見・解決の思考法】 後 正武(著)

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今のデジタル社会のありようをピタリ言い当てたビルゲイツさんの書籍は「思考スピードの経営」でした。

 

news.livedoor.com

 

あれ何のお話しでしたっけ^^; ネットワーク社会の文化と法を理解するために幅広い視野をもって挑みましょう! 根源に疑問をもとう! なにより、【一次情報にあたろう!】 分析には、MECEさ。そのためには、思いつきではなく、フレームワークが有効だぞ! ということを伝えたかったのです。 それではまた次回!