infolaw’s blog ~九州工業大学 情報関連法規(情報法・情報政策)

九州工業大学 情報工学部 情報関連法規授業に関するブログです。

リツイートで、著作者人格権侵害を構成するとした知財高裁判決

前回の授業で、著作者人格権が実は、鍵になるという話をしましたが、

今回面白い判決がでました。詳細は、後ほど書きますが、まずは備忘

のため、リンクを張っておきます。

 

http://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/761/087761_hanrei.pdf

間接侵害 ~著作権法と特許法の条文の作りの違い 【すべては、一次情報に当たることから】

こんにちは、第一回目の授業には、多くの方に着ていただきありがとうございました。

情報関連法規は、

 

 情報に関する法をもれなく寄せ集めて、目次機能を重視して、その時々のトピックを解説するというやり方。

 と、

 今回の授業のように”情報に関する正義・リーガルマインドは何か?”を著作権法などの切り口(=4つありましたよね。)で立ち向かっていくやり方の2通りがあります。

 

 前者は、例えば自分でインターネットサービスの会社を興したいと思う際に網羅的に対処しなければいけない事項を洗い出すのにはよいのですが、2-3年たつとがらりと環境が変わり、役に立たなくなるケースもあります。(=例えば、情報は、保護する対象。という視点から、活用するにはどうするかという立法が生まれ始めてきてたりする)

 

 そこで、本講義ではやや(=というか相当)大変ですが、後者の方式を採用しました。

 

今回、著作権法のカラオケ法理を扱う中で、著作権法の規定は、直接侵害はふくまれていることはわかるが、間接侵害も含んでいるか、条文上”あきらかでない”(=明確に書いているわけでもないし、含まれているように読めなくもない)ことから、間接侵害による差止めができるか問題となる。

 

第七章 権利侵害
第百十二条 著作者、著作権者、出版権者、実演家又は著作隣接権者は、その著作者人格権著作権、出版権、実演家人格権又は著作隣接権を侵害する者又は侵害するおそれがある者に対し、その侵害の停止又は予防を請求することができる。
2 著作者、著作権者、出版権者、実演家又は著作隣接権者は、前項の規定による請求をするに際し、侵害の行為を組成した物、侵害の行為によつて作成された物又は専ら侵害の行為に供された機械若しくは器具の廃棄その他の侵害の停止又は予防に必要な措置を請求することができる。

 

と、お伝えしました。

 

でもさ、何で著作権法は明らかでないと言えるの? 他の法律はどうなっているの?

きたあなた! 鋭い! お目が高すぎます。

 

一番比較してわかりやすいのは、特許法の差止めの条文です。 こちらは、100条(直接侵害)、101条(間接侵害)と明確に条文が構成されています。

 

(参考)特許法100条、101条

第二節 権利侵害
第百条 特許権者又は専用実施権者は、自己の特許権又は専用実施権を侵害する者又は侵害するおそれがある者に対し、その侵害の停止又は予防を請求することができる。
2 特許権者又は専用実施権者は、前項の規定による請求をするに際し、侵害の行為を組成した物(物を生産する方法の特許発明にあつては、侵害の行為により生じた物を含む。第百二条第一項において同じ。)の廃棄、侵害の行為に供した設備の除却その他の侵害の予防に必要な行為を請求することができる。
 
(侵害とみなす行為)
第百一条 次に掲げる行為は、当該特許権又は専用実施権を侵害するものとみなす。
一 特許が物の発明についてされている場合において、業として、その物の生産にのみ用いる物の生産、譲渡等若しくは輸入又は譲渡等の申出をする行為
二 特許が物の発明についてされている場合において、その物の生産に用いる物(日本国内において広く一般に流通しているものを除く。)であつてその発明による課題の解決に不可欠なものにつき、その発明が特許発明であること及びその物がその発明の実施に用いられることを知りながら、業として、その生産、譲渡等若しくは輸入又は譲渡等の申出をする行為
三 特許が物の発明についてされている場合において、その物を業としての譲渡等又は輸出のために所持する行為
四 特許が方法の発明についてされている場合において、業として、その方法の使用にのみ用いる物の生産、譲渡等若しくは輸入又は譲渡等の申出をする行為
五 特許が方法の発明についてされている場合において、その方法の使用に用いる物(日本国内において広く一般に流通しているものを除く。)であつてその発明による課題の解決に不可欠なものにつき、その発明が特許発明であること及びその物がその発明の実施に用いられることを知りながら、業として、その生産、譲渡等若しくは輸入又は譲渡等の申出をする行為
六 特許が物を生産する方法の発明についてされている場合において、その方法により生産した物を業としての譲渡等又は輸出のために所持する行為
 

 

ね。これと比べると、著作権法特許法知的財産権を構成するものなのだから、(ざっくりいうとですが・・)

 

間接侵害を認める”必要性”、”許容性”を検討する余地はありそうだ。という運びになるわけです。

 

講義の中でわかりやすく伝えるためには、”型”と”比較”が大切と伝えましたが、法律は同じカテゴリーにある(=民事法の中の民法と商法・会社法、消費者保護法。)法律の規定同士を比較すると”あれ、これ何で書いてないんかな?”とかが見えたりします。

 

そこを切り口に”○○だから問題となる”と提起すればいいわけですね。

 

今回の授業のレポートだけでなく、卒論、会社の企画書等など、世の中に散逸する情報から何が問題で、なぜ問題で、で、どうするの? を整理するために”比較”の視点はとても役立ちますよ。

 

おすすめの本は、

【意思決定のための「分析の技術」―最大の経営成果をあげる問題発見・解決の思考法】 後 正武(著)

https://www.amazon.co.jp/%E6%84%8F%E6%80%9D%E6%B1%BA%E5%AE%9A%E3%81%AE%E3%81%9F%E3%82%81%E3%81%AE%E3%80%8C%E5%88%86%E6%9E%90%E3%81%AE%E6%8A%80%E8%A1%93%E3%80%8D%E2%80%95%E6%9C%80%E5%A4%A7%E3%81%AE%E7%B5%8C%E5%96%B6%E6%88%90%E6%9E%9C%E3%82%92%E3%81%82%E3%81%92%E3%82%8B%E5%95%8F%E9%A1%8C%E7%99%BA%E8%A6%8B%E3%83%BB%E8%A7%A3%E6%B1%BA%E3%81%AE%E6%80%9D%E8%80%83%E6%B3%95-%E6%88%A6%E7%95%A5%E3%83%96%E3%83%AC%E3%83%BC%E3%83%B3BOOKS-%E5%BE%8C-%E6%AD%A3%E6%AD%A6/dp/4478372608

 

今のデジタル社会のありようをピタリ言い当てたビルゲイツさんの書籍は「思考スピードの経営」でした。

 

news.livedoor.com

 

あれ何のお話しでしたっけ^^; ネットワーク社会の文化と法を理解するために幅広い視野をもって挑みましょう! 根源に疑問をもとう! なにより、【一次情報にあたろう!】 分析には、MECEさ。そのためには、思いつきではなく、フレームワークが有効だぞ! ということを伝えたかったのです。 それではまた次回!

 

 

 

官民データ活用推進基本法 

官民データ活用推進基本法です。

 

  デジタルエコノmeミーティング「官民データ活用推進基本法」による社会変革

  • 背景
    • 個人情報保護とデータの活用
      • 個人情報は、匿名化処理すれば本人の承諾なく、紐づけ分析できるようにした
      • ビジネスでの活用を促進するルールを定めたのが「官民データ活用基本法
    • 課題 ~データの横串をさして利活用を行うには、大きな障壁。
      • 情報がどこにどんな形で存在するかわからない。
      • データとペーパーの混在 
    • キーワード
      • オープン
        • 国、都道府県までは公開義務化。非公開の場合は、理由説明要。
      • ワンスオンリー
        • 原則、同一内容の情報の記入は、1回限り
      • デジタルファースト
        • 原則、デジタル形式で記録を残す。
      • クラウドファースト
        • オンプレミスでなくなる

  → 中途半端に実施するとコストも手間もかかるのがデジタル。振り切ることが大切。

  • 効果
    • 経済活性化
      • 新ビジネスの創出
        1. データ信託銀行
        2. データのカタログサイト 他
      • 行政の効率化 ~本当に必要な分野への人的リソースの振り分け

例)記入した用紙をパソコンに投入し、印刷するだけの窓口→ソーシャルワーカー

  • 政策議論のEBPO化 ~データのトレーサビリティ
    • 手法、予算、効果測定の定量化(=さじ加減、空気、思いと経験からの脱却)
  • 今後
    • 市町村(=努力義務)をいかに巻き込むか?(=個人に関するデータ)
    • データが人を豊かにする社会の実現

例)電子行政、健康保険、観光、金融、農業、ものづくり、インフラ、防災など

→ 是非、オープンデータとAWSなどを活用して、週末学生起業してみては? 

以上

 

 

 

http://www.kantei.go.jp/jp/singi/it2/senmon/dai9/siryou1.pdf

PICK UP ~ソニー20年ぶり復活

ソニーといえば、ウォークマン。音楽を外で歩きながら聞く利用シーンは、

ipodなどで当たり前のように見えますが実は、日本発でした。

ウォークマンや、ミニコンポ、ビデオデッキ、などいわばバラバラ

高付加価値商品として売れていたものが、スマホに集約され、競争力

をなくしてしまいました。

 

また、利益の源泉が、ハードウェアなどのデバイスから、ソフトウェア

巨大プラットフォームにシフトしたことも挙げられるでしょう。

 

イノベーションのジレンマというか、本業消滅。です。

 

類似の事例としては、富士フィルムが挙げられます。昔は、写真と

言えばフィルムの存在が当たり前でした。しかし、今はデジカメですね。

フィルムがいらなくなりました。本業消滅です。

 

しかしながら、医療や化粧品などの分野で本業消滅を補うことに成功

しました。コダックは、フィルムの第一人者でありデジカメの原型を

作った会社ですが、フィルムにこだわるあまり復活ができませんでした。

 

なぜ、ソニーは復活にむけて歩みだせたのか?考えてみてください。

電機全滅の記事で影響をうける会社とそうでない会社があるのでは?

と指摘しましたが、ソニーはそこまで影響をうけない方にあたる

ようですね。パナソニックもそうですね。

 

筐体の中をのぞくことをわすれてはいけません。

部品の分野では、日本が強い競争力を持つ分野もあります。

 

www.sankeibiz.jp

3Cと三方よし。

経営学の教科書を開くと、環境分析の手法として3C分析というものがあります。

 

自社:Company、顧客:Cuntomer、競合:Competitor

の頭文字をとったもので、それぞれの現状を書きだして状況を分析しようというものです。

 

新入社員の時、フレームワークを好きになったはじまりがこの3Cでした。

ものごとを検討しようとすると、どうしても自分の得意なことや、都合のよいこと、など検討項目が偏りがちになります。

しかし、フレームワークを駆使すれば、必ずそのます目を何かしら考えて埋めなければいけない。

また、フレームワークでうめると、”一貫性”があるかないか?その場限りの思いつきか?まざまざとわかることができます。

MECE(=もれなく、むらなく、だぶりなく)思考ができます。興味を先鋭化してマニアックに調べ尽くし、考え抜き、紡ぎだす。という研究思考とはまた別の切り口を与えてくれて有用です。

 

今勉強している法律の要件と効果や、法律的な検討の手順(=法的思考)もフレームワークの一種です。

 

そんなときに日本にもそういうものがないかと調べ始めました。

するとありました。

近江商人の三方よし。というものです。

買い手よし。売り手よし。世間よし。

です。買い手と売り手は、3Cの顧客、自社にかさなるものがあります。

3Cは、自分の市場の中の敵をいかにやっつけるか?シェアを拡大するかという視点を超えません。

三方よしは、”世間よし。”なので、自分自身の事業が何のために存在するのか ?何のお役に立つのか?という理念がなければ成り立たない続かない。ことをまざまざと思い知らされる優れたフレームワークです。

是非、何かやるさいには、なんのために?(FOR WHAT)を大切にしてください。

自問自答。自修自得。です。

 

会津藩出身の医師 野口英世先生。白虎隊を経て東大総長となり、九州工大の前身の明治専門学校を作った山川健次郎先生。 その哲学を身近なところから感じてみてもいいかもしれませんね。おそらく、先義後利。というキーワードに出会うと思います。

自分がたずさわっているところは、自分だけで出来上がっているわけではありません。自分の先代がどのような哲学でいまにつながるものをつくったのかを知ることが歴史から哲学を学ぶのに近道です。

では。

 

 

 

 

今日のPICK UP ~電機全滅

gendai.ismedia.jp

 

確かに、NTT、東電の影響はあるかもしれませんが、影響を受ける企業とそうでない企業があると思います。さて、どうすればそのことを見破ることができるか?

 

ヒントは、業界地図と経営の成績表。財務諸表にあります。

なぜを考えるときは、マクロな視点とミクロの視点の両方をもち一次情報にあたることが大切です。